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古典と歴史から〈経済学の前提〉を考える[担当:恒木 健太郎]

ゼミナール名称古典と歴史から〈経済学の前提〉を考える
研究テーマもともと経済学は、資本主義の成立過程において、私たちの日常的な営みのなかから生まれたものです。かつての経済学の古典は、この日常生活のなかから生まれてきました。こうした日常的な営み=〈経済学の前提〉を意識することで、経済学の意義を深く理解することができます。私たちの日常生活から、古典の生まれた背景を知り、古典を読む。これによって、大きなタイムスパンで現在の自分たちの経済生活の状況を把握できるようになります。
ゼミナール所属経済学部経済学科
学修内容1 アダム?スミス『道徳感情論』を読む
前期?後期を通じてアダム?スミス『道徳感情論』(講談社学術文庫)を少しずつ読みます。自己利益の追求と「共感」という一見相反する要素を取り出し、個人の心理から社会の形成までを原理的に考察したこの本は、自分たちの身の回りの〈常識〉から社会全体を見通す能力を身につけるうえで最適です。また、スミスは「道徳哲学」のなかから経済学の基礎づけを行いましたが、その内容は今日的にみれば哲学?倫理学?心理学?法学?政治学?言語学といった諸分野を意識したものとなっており、経済学の立場から隣接諸分野を学ぶ手がかりも与えてくれます。昨年度で第4部まで読み終えました。今年度は第5部と第6部を読み切る予定です。

2 海賊/匪賊と「世界史」
経済学の本格的成立はスミスの生きたイギリスの18世紀にあるとよくいわれますが、その背後には「世界の一体化」による国際的交易関係の著しい拡大の歴史がありました。経済学成立の〈前提〉を知るためには、このようなグローバルな歴史の展開を知る必要があります。そこで前期は、こうした一環として竹田いさみ『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)を読みました。ジェントルマンの国として近代世界システムの形成をリードしてきたとされるイギリスの「豊かさ」が、じつは海賊行為という手法を用いてもたらされたものであったという事実。その背景について、映画『パイレーツ?オブ?カリビアン 呪われた海賊たち』の鑑賞も交えつつ勉強していきました。後期はイギリスからさらに視野を広げ、いわゆる「世界史」全般におけるアウトローの果たした役割をより深く考察するべく、エリック?ホブズボーム『匪賊の社会史』(ちくま学芸文庫)を通読します。これらをつうじて世界史的な広がりを視野に収めつつ、いま成立している経済学の歴史的<前提>を問う視野を養います。

そのほか、発表?論文指導やゼミ合宿も行います。
ゼミ生の人数2年生12名 3年生 28名